お祭りの仕事にかかりっきりで、多忙な日々を過ごしておりました。
単に商品の訴求に関わるよりも、人々が集うイベントに携わる方が充実感が違う。
商品の広告を作っても、受け手の顔が見えないから納品しても不完全燃焼に終わりがちだけど、
イベントに集った人々の笑顔や歓喜の姿を見るたびに僕の気分は高揚する。
僕以外にも数人、フリーのクリエィターが外注スタッフとして参加していて、
昨年友達になった年齢がさほど変わらないあるクリェイターは、僕の顔を見るなり、
「俺たち、けっこう仕事で一緒になるよな」と言った。
「あんまり一緒になりたくないんだけど・笑」と返すと、
「俺たち、雛壇の竹山とザキヤマみたいだよな」と微妙な関係に例えた。
それはあまり嬉しくないと思い、
「俺は、西島秀俊と香川照之のつもりでいるんだけど」と言った。
どちらが西島秀俊なのかはさておいて、
今年の仕事量は明らかに彼の方が多かった。
営業力の違いは誰が見たって彼の方が勝っている。
そんな悔しい思いも忘れて、二人でお祭りを眺めていた。
そこにお世話になった運営の女性スタッフがやって来て、僕らに「ごくろうさまです」と会釈をした。
彼女は20代後半で仕事ができる。
営業上手の彼は、すかさず営業トークを繰り広げ始めたが、途中からは攻める先を変えた。
どうやら彼女をものにしようとしている。その意図が見え見えだ。
彼女は彼の話を時折さえぎり、歩道に座り無言で祭りを眺める僕に話しかけた。
これは助け船を求めているのかな?猛烈に誘われている彼女はまんざら嫌がって風にも見えない。
祭りのパレードが途切れると彼女は、後ろの売店でジューズを3本買い、
彼にはオランジーナを、僕にはレモンジーナを差し出した。
お礼を言い、ポケットから200円を取り出し、アクエリアスを飲んでいた彼女に渡したけど受け取ってはもらえなかった。
どうしよう、クライアントに奢ってはもらえないと思っていると、
彼が「じゃあ今度ランチを奢りますね」と言い、オランジーナをグビグビと飲み始めた。
そうか、その手があったんだな、と己の機転の利かなさを悔やんだ。
それにしても何故僕にはレモンで、ヤツにはオレンジなのか。
レモンジーナは美味しかったが、二人とも同じオランジーナで良かったのではないか?
レモンジーナは季節限定の商品だとばかり思っていて、まだ売っていたことにちょっとだけ驚いた。
発売後あまりの大ヒットに生産が追い付かなかっただけだったのか。今は安定供給されているのか。
そもそもオレンジだからオランジーナのはずだ。
レモンならレモニーナではないのか?などとあれこれ思いながら飲んだ。
彼女がランチの誘いに返事をした。
「じゃあ今度3人でランチしましょう」
そう言うと僕らから笑顔を残し、離れて行った。
「残念だったな、ククク」と彼には言ったけど、内心では「ざまぁみろ、アハハ」だ。
それにしても、なぜ俺にはレモンジーナだったのか。
オランジーナを2本買わなかった理由。
差し出す時に「どっちがいい?」の選択も与えられず、決め打ちで渡された。
彼女にとっては僕はレモンのイメージだったのか。
オレンジ男とレモン男では、どちらがモテるのか?
レモンイメージの男って、何?
◆今日聴いていた曲
夏はやっぱりレゲエっぽいのがいいな。
twenty one pilots: Ride