花火を見に行った帰り、
裏路地に面したマンションを斜め前方にとらえながら歩いていると、
女性の喘ぎ声が やけにONマイク状態で聞こえてきた。
若者向けの1ルームマンション。
喘ぎ声はどうやら2階の窓から放たれているようだ。
おそらく窓際にベッドを置いているんだろうな。
出窓の前にさしかかった時には、
何故か、僕が気配を感じさせまいと、忍び足で足音を消していた。
なんで俺が?ヘンだな。おかしいだろソレ。
あれは、私達は今セックスしていますよと伝える事で高ぶる、
露出プレイのカテゴリーに属する、お知らせプレイか何かだったのだろうか。
彼氏に声を出すように示唆されていたのだろうか。
いや待てよ。男の息づかい聞いたっけ?
えっ、ウソっ。もしかしてオナニーしてた?
お知らせオナニーしてた?
出窓の下を通る人にわざと喘ぎ声を聞かせてた?
テレホンオナニーの経験がある女神様が何人かいたから、
そういう趣味を持つ女性は稀にいるんだろうな。
稀じゃないか。けっこういるか。
テレホンオナニーなら相手は1人。
でも彼女の場合は、誰が下を通るかわからない、
無差別お知らせオナニーだ。
あっぶねぇぞソレ。
溜まっている男が声を聞いて、階段を駆け上がってピンポーン、
なんて事もあるかもしれないし、
そこまでできない男は、夜な夜な部屋を見張って、
ストーカーになっちゃうかも知れない。
「外でやってみたいな」と言った女神様はたくさんいた。
車の中でやるよう誘われた時も数回あったし、
ショッピングセンターの駐車場まで出かけてはオナニーをする女神様もいた。
誰かに見られている。声を聞かれている。それはスリル?
私の喘ぎ声に、どこの誰だかわからない男が興奮して勃起させている。
そう思いながら脳内のザワザワを継続させてる?
夜にデビューしてまもない頃に、女神様に誘われるままに公園でセックスをし、
女神様が悦ぶだろうと、僕から誘った事もあったけど、
様々な危険をはらんだ行為だったので、外での行為をやめ、誘われても断った。
公園の茂みで行為をしていた時、常連の覗き魔なのか、偶然の通行人なのか、
僕らの行為を足を止めて見ていた男性がいた。
その公園は、近くに大学や専門学校があったことから、学生マンションも周りにたくさんあった。
辺りは暗かったので、シルエットしか確認できなかったけど、
その時に見ていた男性は学生だった確率が高い。
「男に見られてる」と言った途端、悶え方に拍車がかかった女神様だった。
女性の性癖を満足させることに努めていた僕の腰の動きも激しくなったけど、
危険な行為に、内心はハラハラしっ放しだった。
2階の彼女。やっぱり危険すぎる。
彼氏の声は聞こえなかったけど、一人暮らしではなく、
同棲している彼氏に攻められていたのだと 信じたい。