ひとしきりベッドで身体を重ねた後のマッサージタイム。
クンニが長かったから、全身の筋肉をほぐさなきゃね。
「ねぇ、いつものお話ししてよ」と女神様が言う。
由紀乃さんと会うのは5回め、プレイはいたってノーマルな彼女。
男性と触れ合い戯れ、ベッドで抱き合うだけで良いと言うけど、
それだけで帰らせるはずないでしょ。
由紀乃さんのリクエストに応えて、僕は話しだす。
由紀乃はラブホがすぐそこに見える雑居ビルの影に身を潜めた。
缶チューハイを2缶開けて、既に息は酒臭い。
隠れた彼女の前を何人もの男が通り過ぎたが、
お気に入りの男はまだ見つけられずにいた。
横断歩道を渡りきった所で友達とおぼしき男性と別れた若い男性が歩いて来た。
由紀乃は獲物を狙う目つきでその男を見た。
25歳前後のイケメン、身長は180センチはありそうだ。
三浦翔平似のルックスは由紀乃のストライクゾーン、ド真ん中だ。
彼がこちらに歩いて来る。
距離が20メートルに近づいたところで、由紀乃は行動を開始した。
泥酔を装い、足元をふらつかせ、彼の前に出た。
そして後方から歩み寄った彼が追い抜こうとした時、
由紀乃は彼にフラフラしながら歩み寄り、身体を浴びせるように倒れた。
「大丈夫ですか?」。彼は優しく手をさしのべたが由紀乃は直ぐには起ちあがらなかった。
「ここ…どこ?あなた…誰?」と泥酔状態であることを彼に解らせた。
「大丈夫ですか?飲みすぎたんですね」。
肩を貸した彼の身体に抱きつきながらゆっくりと起ちあがった時にミュールをわざと脱いで転がし、
何もなかったように裸足で独り、歩き出した。
思った通り、彼はミュールを持って追いかけて来た。
「裸足だよ、大丈夫なの?」。
由紀乃はまた彼の肩を借りながら歩きながら「頭が痛ーいの」とか「お腹も痛ーいの」を繰り返す。
そしてラブホの入口にさしかかった所で「ダメかも…」と言い、また倒れた。
ミュールを持った彼が手をさしのべるが由紀乃は「具合悪ーい」とうわ言のように言うだけ。
そして「横になりたい……」と小さな声で言うと、地面に寝転んでしまったが、
彼の手は しっかりと握っていた。
「ホテルで休んでいく?」
思惑どおりの言葉が彼の口から発せられた。
すぐに返事はしない、彼の手をあいかわらず握ったままだ。
「タクシー拾う?ホテルで休む?どうする?」
由紀乃は寝言のように「ホテル…すぐに眠りたい」と言った。
彼は由紀乃を抱き起こし、ホテルに入った。
「へへへ。そこから先は由紀乃さんが考えてください(」笑。
「そんなふうにうまくいくかなぁ」
「いきますよ。ポイントは翌朝に何も覚えていないということにすることですね」
「だよね」
昨日は由紀乃さんにマッサージをしながら、そんな時間を過ごしました。