暑中お見舞い
申し上げます 女神様の家に行くと、浴衣姿で待ってくれていました。
『花火大会の帰り?』
「違うよ」
『お祭り行って来たの?』
「違うよ」
奈々美さんは嘘をつかない。
花火大会やお祭りに行って来たと言えば、
僕はそのように信じて、
カップルを見て羨ましく思っちゃったんだな と
勝手に思い込んで、恋人達みたいなキスをしたと思うけど、
僕に浴衣姿を見せたかったのかな?
そう思って奈々美さんを見ると、
女性のいじらしさとか可愛らしさとか幼さまでを
纏っているように見えた。
僕にとっては、恋人達を羨ましがる女性よりも、
綺麗な柄の浴衣姿を見て欲しいと 慎ましやかに披露してくれる女性の方が、
色々な感情があいまって、そんな女性をきつく抱いて悶えさせたくなった。
僕たちの立場は こんなで、いつもそんな関係だから、
嘘をつかれても平気。
その方が良い場合だってあるし、素性を明かして欲しくないと思う時もある。
でも僕はいつだって探ってる。
どこが感じるのかは勿論、カラダの傷痕の理由を聞きたい時もある。
それを知ったからといって、僕が何をしてあげられるわけでは無いけど、
何があったのかな?って思いながら傷痕を舐めたり、そこにキスをしたり。
キレイなカラダにこしたことは無いけど、
シミ、痣、痕、おそらく女性が引け目を感じるそれらに、
“女性”というか“人”の生い立ちや普段の生活を感じ始めると、
なおいっそう愛おしくなってしまうのです。
暑いね。
皆さま 体調を崩さぬようにね