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実話小説・隣の女子寮-05

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 俺はサッカー部だった。
だけど練習には全く出てはいなかった。
一年の秋、練習中に足を骨折してしまってから、サッカーから遠のき、
在籍はしていたけど練習には出ていなかった。
サッカー部のマネージャーをやってくれていた里佳子と瑞穂が仲良くしていたことから、
三人でカラオケに行ったり、男ばかりで遊ぶ時には声をかけ、
二人に花を添えてもらったことも何度かあった。

 TSUTAYAから俺の家までは歩いて15分程かかる。
ようやく家に着こうかという辺りで、俺の視界に5人の制服姿の女子が飛び込んで来た。
よく見ると、ついさっき自転車で追い越して行った三人の先輩も居た。
女子とはいえ先輩だ。軽く会釈をして横を通り過ぎようとした時、
「高杉君」と、引きとめられた。
名前を呼んだのは、身長の高い細っそりとした、ショートヘアーの女子で、
吹奏楽部の3人と仲良く話しをしていたことから、3年生であると思われた。

彼女は突然こう言ったんだ。
「寮に上がっていかない?」

「どうしてですか?」俺はおそらくそう言ったはず。
正直言うと覚えていない。
それほど突然の誘いに驚いたと同時に、例の行為を見ている人に違いないと察知した。

 何故か俺は寮の食堂の椅子に座っていた。
すぐ隣は俺の家なのに、寮には何の用もなく、知り合いもいないのに。

 背が高くてショートヘアーの先輩はバレー部の沙希さんで、
頭の上でお団子を作った髪形の先輩もバレー部で、マドカさん。
残り3名は吹奏楽部の聖奈、智香、由紀子さん。
大きな食卓台に6人が座っていたけど、俺はまさに借りてきた猫状態にあった。
沙希さんはミロに氷を入れて、アイスミロを作ってくれた。
しばらくして吹奏楽部の智香さんと由紀子さんが帰った。
食堂に残ったのは、沙希さん、まどかさん、聖奈さん、俺の4人。
何を話すでもなく、ダラダラと時間が過ぎた。
平静を装ってはいたが、俺の心臓はバクバクもので、口が渇いて仕方がなかった。
バレー部の二人は俺の全裸を見ているに違いないのだ。
いったい何がしたいんだ、と気の置き所もわからずに居ると、沙希さんが口を開いた。

「高杉君はウチらに毎晩、見せてくれてるんだよね?」。

空気の流れが止まったような気がした。
どこに目をやるでもなく、食堂の棚に置かれた電子レンジ一点を見つめたまま、俺はフリーズした。
完全に見抜かれているではないか。
やがて動揺が訪れ、表情を変えじとしても、余計に瞬きをしてしまう。

「きょどってるし」(笑)、と沙希さん。
「なんのことですか?」。
努めて冷静に言ってみたけど、鼓動の荒れがそのまま声に伝わる。
「なんのこと?って昨日は赤いパンツだったよね」、と沙希さん。
「いつもありがとうね、高杉君」(笑)。マドカさんが笑って言った。
「い、いや、その……そんな事してないです」と言った俺に、
「え?そんな事ってどんな事?」沙希さんが下を向いた俺の顔を覗き込んだ。
俺は逃げ出したくなったが、身体が動かなかった。
いや、動こうとしなかったのが適切なのかもしれない。
俺は何かを期待して、そこに居たのだから。

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| 小説・隣の女子寮 | 12:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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