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実話小説・隣の女子寮-21

tz80

 監禁場所から家までは、歩いてわずか10秒たらず。
リビングの時計の短針はちょうど10を指していた。

みんなそれぞれが素晴らしかった。
こういう行為に順番をつけてはいけないのだと、その後知り合ったある女性が言っていた。
確かにみんなそれぞれに魅力があった。
誰一人として顔を見せてくれた女の子はいなかった。
手も後ろで縛られていたので、胸さえ触ってもいないが、
俺の唇の感触は、今でもその人の香りとともに、舐めさせられた全員の蜜壷を覚えている。
でも、やっぱり初体験となった相手が一番印象深かった。

 シャワーを浴びている時、胸に「M」とみみずばれになっているのに気づいた。
初体験中、彼女の爪によって刻まれたものだ。
年齢も名前もわからない彼女との時間の記憶が、身体のいたるところに残っていた。

 初体験の相手となった彼女の声は、全てがひそひそと囁くようなものだったが、
可愛らしく印象に残るその声は、頭の中でいつも鳴り響いていた。
そしてその都度、白い脚と内腿にあった二つのホクロを思い出した。
どんな顔をしているのだろう、何が趣味なんだろう……。
俺の心の中で、当時、恋心を寄せていた同じHRの瑞穂が占拠していた部分に、
顔すら知らない〝イニシャルM〟が、だんだんと侵略していった。

 寮生ではないと思われた彼女とは、もう会えないのかも知れない。
そう思うとよけいに会いたくなった。
彼女の事を何も知らない分、想像が先行し、
勝手に作り上げた空想の動物のような彼女のプロフィールを
俺は毎日頭に置いてロンリープレイにふけった。
学校で色白の女子を見かけると、内腿に二つの小さなホクロがあるかもしれないと、
スカートがめくれるのを期待した。
もしも探し当てる事ができたなら、俺は交際を申し込むつもりでいた。
顔などはどうでもいい。
彼女と共にした衝撃の1時間半で、俺は愚かにも彼女の内面を理解したつもりでいたのだ。
この拍車がかかる恋心をどうしてくれよう、と、
顔も見せないまま心の鍵を強引に壊して開けた人に、責任をとって欲しいとまで思っていたのだ。
あの日、その人が言った「君の初めての女になりたいの」。
それは責任をとってくれるという意味なのではないのか。
でも、誰にでも全裸を晒すような男を恋人として考えられるだろうか。
俺はやっぱり、女子達の密かな快楽用のペットでしかないのか。
悪く言えば女子達の公衆便所、――笑える、なんてM心をくすぐる表現だ。

tz81 tz82

| 小説・隣の女子寮 | 12:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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