こんな事を続けていては、やっぱりダメだ。
窓を閉ざせばいいだけの話。
でも、性欲に満ち溢れた彼女達からのメールを読むと、
軟弱な決意はいつも泡のようになり、やがて白い液状となり、
俺の身体から放出されるのを、いつも彼女達は見届けた。
女子寮の窓はその日も開いていた。
窓を見る度に部屋の中の模様が思い出され、
布団に埃がかぶってしまうんじゃないかと、逆に心配してしまう俺だった。
あの頃は、メールで指示されてのロンリープレイが普通になっていて、
見ず知らずのメアドの主、数十人に向けて、俺は全裸を晒し続けていた。
寮生の三分の一にも及ぶメアドは、その都度登録されたが、
名前の欄にはアルファベット一文字。「隣」というフォルダーに保存された。
アルファベット「C」からのメールが受信されたのは午前2時、
その日は8時と11時に、AとGからの注文に応じ、
そろそろ寝ようかと、ベッドに寝そべってファッション誌を読んでいた。
<まだ起きてるんでしょ?何してるの?>
≪SMART読んでた、そろそろ寝るとこ≫
<オシャレだもんね、涼汰君>
≪どうだろ……窓開ける?≫
<うん、開けてよ>
窓を開けると、向こうの窓も三分の一程、相変わらず滑りの悪い音をたてて開いた。
ベッドに座り直し、Tシャツを脱ぎ、スウェットの下を脱いだところで、
わずか5メートル先から送新されたメールが受信された。
<メールめんどいから電話しよ、携番教えて>
了解。と送信してすぐに非通知でかかって来た。
「指示するからね」
「パンツ脱がないで、パンツの穴から出してみて」
「そのままこっち向いてシゴいてみて」
「じゃあパンツ脱いでベッドに寝て」
「こっちにお尻突き出して見せて」
「股開いて……もっともっと股開いて」
途中、電話の主の声が震えだした。
窓の向こうでも、ロンリープレイが行われていたようだ。
「上半身起して、シゴいて、その顔を見せて」
「窓に立って」
「そのままこっち見て」
「乳首触りながらシゴいて」
「そう。もっと早くシゴいて」
「もっと」
「そう」
「もっと」
「そう」
言葉少なに、だんだんと声はかすれる。
俺はそれほど我慢をしなくても時間をもたせられた。
その日は4回めのショーだったから。