femona 女神たちの快楽

僕と会った初めての時、本当はＳの男性を求めてた彼女。
受付に電話をした時はあいにく僕しか待機しているホストがいなくて、
Ｓ男になりきって女神様を弄んだ。
話しの流れでつい「Ｍの女性の気持ちわかりますし」と言ってしまった。
「え？Ｓ男じゃないの？」と女神様が訊き返した。
「ＭとＳ半々です」とごまかすと、
「本当はＭ男なんでしょ！」と図星をくらった。

　　

もう呼ばれないだろうなぁと思っていると、
一か月後に指名が入った。
「なんで僕だったの？いや、なんで俺なのさ」と訊くと、
「Ｍ男に苛められる女こそドＭでしょ？」と笑った。
その夜は不思議なプレイで、苛めるでもない苛められるでもない、
かと言って、明らかにノーマルでもなく、何かおさまりの悪いプレイというか、
掴みどころのないプレイというのか。
でも、女神様の貪欲さは時間と共にじわじわと湧いて出た夜だった。
二人の時間に手応えを感じなかったので、
せっかく指名をもらったのに申し訳ないことをした、
もう呼んでもらえないのだろうなと思いながらお別れのキスをした。

　　

ところがその２週間後に、また指名をくれたことに驚いたけど、
驚いたのはもう一つあって、なんと女神様が黒のレースの上下に
ガーターベルトをつけていて、ピンヒールまで持参して来た。
「そのかっこ、女王様じゃないっすか」と訊くと、
「こないだ君と会った次の日に買ったんだよ」と笑ったけど、
いつもの可愛らしい目つきではなかった。
「どんなふうに苛めようかなぁって考えてたの」。
僕はその言葉にやられた。

普通なら目の前に立つステキなボンデージ系のコスチュームに心が揺れるものだろう。
勿論僕も心を揺らした。目も奪われた。
でもそれよりも、目の前に立つまでの、このコスを着て僕をどう苛めようかという
考えようとしなくても不意に日常に紛れ込んでしまうエロスに心が揺れた。
おそらく毎日僕のことを想ってくれたのかも、
たぶんベッドで目を閉じた時にすでにこの時間を想っていたことだろうし、
それが積み重なって今に至っているに違いないし……。

　　

男女が会う時によく言われる「会うまでの時間がいい」や、
「落とすまでのプロセスが楽しい」という妄想タイムの愉しみ方を知っている女神様に、
「いやいや会ってからの方が楽しいに決まってる」を思い知らせてやろうと、
その夜はＭ男魂全開でひれ伏しながら悶えまくった。

その後に２度指名で会ったけど、ランジェリーは違ったものの、
２度とも女王様テイストたっぷりのデザインで、
顔面騎乗をする自分を鏡に映していた。

会いたいなぁって思うんです。
もしかしたら、男と会う時の下着はボンデージ系になっちゃってるのかなぁ。
コスチュームによって七変化できる女性は素晴らしい。



ストレートなボンデージファッションじゃなくても
淡めの色のビスチェやガーターにもそそられる。
ちょっと冒険して、それを初めて身につける時の女性のドキドキ感を
つい、 推しはかるまではいかずに目を閉じて察してみると、
なにやらその感情には、期待や気づかわしさやらを刺激が連れてきて、
新しい個性を生んでくれるような、男性には味わえない特殊な感情に浸れる。
女性は羨ましい。

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