新学期が始まり、生活リズムも戻りだした頃、
俺は友達と3人で、学校のグラウンドをぼーっと眺めていた。
陸上部の女子が汗だくになって走ってる。
もう一つの小さなサブグラウンドでは、女子のテニス部とソフトボール部が練習をしていた。
この中に、俺の部屋を覗いている女子が必ずいるはずだ。
トラックを周回する可愛らしい女子が、視界に入ってはまた遠ざかった。
……あの子だったらいいのにな。
いったい何人が俺の部屋を覗いているのだろう。
知らないのは俺だけで、密かに噂されているのかと思うと鼓動が高鳴り、
もしかしたら女の子が、俺の姿を見ながら、もしくは思い出しながら、
独りの行為にふけっているのかもしれない。
そう思うと鼻息が荒くなり、鼓動が高鳴り、股間も脈を打ちだした。
9月に入ってまもない日、俺は友達5人でカラオケに行った。
金曜日ということで、待合室からも客が溢れそうなぐらいに混んでいた。
そのほとんどが俺の学校の制服を着ていたけど、中に3人、指定外のジャージを着ている女子がいた。
彼女達は、俺を意味深な面持ちで見てから笑みを浮かべた。
俺は友達に訊いた「あのジャージの女子は何部?何年か知ってる?」。
友達が振り返り、彼女達をガン見した後、
「あのジャージはバレー部だな、1年じゃね?まだガキっぽいから」。
「そうか1年か……」。
年下だ。俺もガン見してみると、なるほど皆幼い。
俺の部屋の灯りが点くまで、影を潜めてじっと待っている覗き魔は、あの女の子達なのかなぁ。
あんなに幼い顔をしているというのに……。
女の子達には人知れない性欲や好奇心があるのかもしれない。
もしかすると男よりもそのレベルは上なのでは……、俺はそんな事を考えだした。
男よりも女の方が、想像力も妄想力も豊かである、とは2ちゃんのスレでロムって知っていた。
一つ年下の、まだまだ幼いあの二人の目に映る俺は、もしかしたらパンツ一丁だったのかもしれない。
それで笑ったのか?そうなの?
翌週には、廊下で見たこともない女子二人から笑顔を送られた。
「あれは何年?」。
「あのスカートの短さは3年だな」。
俺は真っ黒に日焼けした二人の先輩の後姿を見ながら、立ちすくんでしまった。
……あの先輩達なのかも。あの日焼けした肌は陸上部?
学校で教室以外を歩く時は、なんとなくサワサワした。チクチクもした。
ドキドキなんて毎度のことだ。
学校での居心地の悪さは確かに感じたが、それ以上に言葉では表すことのできない妙な感情が、
身体全体を刺激し、廊下を歩く度に高揚した。