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実話小説・隣の女子寮-27

tz92

「今度、カラオケ行きませんか?」と俺から誘った。
その人からOKが出るまで30分もあった。
――君から見たらおばさんでしょ?
――年齢が離れすぎてるでしょ。
――私なんてもうダメだよ。
――他の人が見たらどう思う?

俺はそれらのネガティヴな言葉一つ一つを潰しにかかる。
――可愛いと思います。
――年齢の差は感じません。
――まだまだ女を感じます。
――姉と弟でいいじゃないですか。

「行きたくなかったら、無理には誘わないですけど」
「行きたい気持ちあるよ、話しもしてみたいし」
「なら、行きましょう!いっぱい話しをしましょう!」

三日後の約束はカラオケボックスで午前11時。
彼女が部屋をおさえ、そこに俺が後から入室した。
立って迎えてくれた彼女に、俺は目を奪われた。
短めの黒いワンピースはボディラインをくっきりと際立たせ、
シャープな黒のブーツとミニワンピの裾との間で主張する脚が艶かしい。
髪の毛からはカラメルシロップが消え、
美しく染まった髪には四日前には無かったウェーブがある。
俺に会う為に、お洒落をしてきてくれたんだ。
男として見てくれている表れなのかな、と思うと嬉しくなった。

こんなカッコするの久しぶり、と彼女は言った。
安室奈美恵ばかりを歌い、「懐かしい」とデンモクのページをめくる彼女の指先を見つめていた。
手は決して綺麗とは言えない。育児と家事に明け暮れる母親の手だ。
疲れているんだろうなぁと思うと、彼女を癒してあげたいと刹那に思った。
だけどその方法がわからず、空で彼女が歌う安室奈美恵を聴いていた。

その日は、彼女の「ありがとう」が締めの言葉となり、二人はカラオケボックスを後にしたが、
その日以降から二日に一度のメールのやりとりが始まることとなり、
年が明けて1月の中旬に、俺と彼女はホテルで時間を共に過ごすこととなった。

tz93 tz94

| 小説・隣の女子寮 | 13:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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