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実話小説・隣の女子寮-34

tz113

 大きな公園沿いに建つ近代的なデザインのマンションは10階建てで、外観は白い。
公園の緑とはコントラストに映え、一線を画しているが、
自然が与える癒し感を乱すほどのものではなく、むしろ調和している。
アルミをふんだんに施したエントランスを潜ると、タッチパネルがある。
部屋番号を打ち込み、呼び出しボタンを押すと、
落ち着きのある女性の声が感度の悪いスピーカーによって無表情に変換され、
「はい」とホールに響いた。
「涼汰です」。
オートロックの自動ドアが開くと、
サインボードが導くとおりにエレベーターに乗り、彼女の部屋のチャイムを押した。

リビングは極めてシンプルで、必要最低限の家具はいかにも高額そうだ。

ここに書き綴るのは恭子さんとの性交渉がどんなものであったかではない。
あまりにもな女性主導な行為の数々を書けば、読者の皆さんの面持ちは、きっと怪訝なものと化す。
でも、エピソードを書かなければ、読者の方の共感も導けないので、
二つばかりのエピソードを書くことにする。

彼女の性癖が生まれながらのものなのか、境遇から備わったものなのかは解らない。

>キャリアウーマンって言うの?見たかんじのイメージはそんなふう。
スーツが似合いそうでさぁ、クローゼットにもたくさんスーツが収まってて、
玄関にはヒールやパンプスがたくさん並んでた。
でも恭子さんのスーツ姿は一度も見たことが無いんだ。
いつもランジェリーか全裸。
玄関のチャイムを鳴らすでしょ、そしたらいつもインターホンから
「開いてるよ、どーぞ」って聞こえるんだ。
出迎えてくれたりしない。
リビングまで歩いていくとソファーに腰掛けて、
「こんにちは」って微笑むんだ。
初めての時、おそるおそる恭子さんの前に正座しようとした俺にね、
「普通にしてていいよ」って言って、レモンソーダを運んでくれた。
仕事はアパレル系って聞いたけど、ホントかどうかは知らない。
そんなこと聞く必要ないでしょ?
ただ、かなりの給料を貰ってたと思う。
恭子さんとは10回会った。いつも日曜日。
一度だけホテルで会ったけど、残り9回は全て彼女の部屋。
33歳の女性があそこまで稼げるようになるにはさ、
やっぱりいろいろ苦労があったのかなぁ。
俺ね、彼女がね、男に対してね、
何かしらの敵対意識を持っているように思えてならなかったんだけどね、
3回めに会った時に、その特異な性癖が備わってしまった理由が、
彼女の口から明かされたんだ。
俺はそれを全て信じちゃいない。
仕事を偽って説明したかも知れないし、
備わってしまった性癖の理由だって嘘だったかも知れない。
でもね、理由がどうであれ、彼女は男にそれをする事で満足するんなら、
俺は彼女の欲望を受け止めようと思ったんだ。

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| 小説・隣の女子寮 | 01:48 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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