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実話小説・隣の女子寮-54

tz179

≪瑞穂、メルヘン遅れてごめんね、いま起きた≫
<今から行ってもいい?>
≪いいよ、待ってるから≫

瑞穂が来るまでの30分で、部屋の掃除をした。
ベッドの布団一式も、お客さん用のものに敷き替えた。
でも、瑞穂とはこの部屋で交わりたくはない。リビングだな。
リビングを掃除しながら考えていたことは、酒池肉林の昨夜のことではなく、
瑞穂とどんなふうに過ごそうかということで、
頭の中のシミュレーションでは、たくさんの女性に育まれて得とくした
テクニックを駆使して、男を見せている己の姿だ。
瑞穂をとことん果てさせてやるんだ。俺の虜にしてやるんだ。
冷蔵庫にQOOりんご味のペットボトルがあるのを確認した。
気の利いたスナック菓子を探してみたけど、前日に全てを食べつくしてしまった。
昨夜の宴の残骸、キャラメルコーンやポテチがダイニングテーブルの上で、
口を開けたままだらしなく置かれていたが、
それを瑞穂に食べさせるわけにはいかないと、ゴミ箱の中に投げ込んだ。
それらはとても不潔なお菓子に思えてならなかった。
ゴミ箱の中のお菓子を汚い物でも見るように見下ろしていると、
宴に参加した女子達との感触が思い出された。
穢れた印象の彼女達。
お風呂場も洗った。ここで何人もの女子に挿入させられた。
女性をそう思ったのは後にも先にもあの時だけだ。

>なんでだろう。
何故あの時、そう思ったのか今でも解らない。
屈折したトラウマのようなものを感じたのかな。
だとしたらそれは今でもマグマのように
燻っているはずで、いつトランスするかも知れないということか?
あれほど好きだったポテチをあの時は二度と食うもんか、って思いながら見下ろしていたっけ。
たぶん、あの時は女性に対してのトラウマの「芽」があったんだ。
怒りや不満の矛先を、同じ女性である瑞穂に、
乱暴でたくましい男を見せることで解消しようとしてたんだな。
愛情のない行為に溺れてさ。されるがままの行為の連続にさ。
女って汚いとまで、あの時は思っちゃったんだ。
でも、多分、俺のトラウマ、大丈夫。
女によって植えられたトラウマは、ほんの小さく芽生えたけど、
それを摘んでくれて違う色の花を咲かせて見せてくれたのも女だったんだ。
そんなケースは他には認められていませんと、その道の学者さん達は言うかも知れないけど、
俺に関しては、良きに転じているようだよ。
ほら学者さん、ここにケースがあるから、調べに来てよ。

tz180 tz181

| 小説・隣の女子寮 | 11:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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