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実話小説・隣の女子寮-58

tz188

>ずっと探してたんだ。
このホクロを、ずっと探してた。
初めて女子寮に招かれたあの日、
俺のカラダに爪でMと刻印した女性。
忘れようにも忘れられないその女性。
あれから何人と何回も経験したけど、
いつもどこかでその女性と比べていたんだ。

その女性が今、目の前にいる。
その女性が、瑞穂だったとは、
想像もしないことだった。

「どうしたの?黙っちゃって」
「なんでもないよ、あまりにも瑞穂が綺麗だからさ、みとれてた」
「恥ずかしいからあんまり見ないでよ」
「それは無理、だってさ、ホントに綺麗だからさ」
「お世辞言わないでよ」
「言うよ、言いたい時に、言わせてもらうよ」
「すぐ飽きるから、きっと」
「すぐに飽きられたことあるの?」
「さぁ、どうだろ」

二人はバスルームを出た。
お互いのカラダをタオルで拭き取って、リビングに裸のままむかった。
シナリオを無くした俺の口数がちよっとだけ減っていた。
ソファーの背もたれを倒して、ベッドにすると、二人がごろんと寝転んで、
途切れた会話を俺が再開させた。
「すごく素敵なクリスマス」
「昨日のイヴのこと?」
「違うよ、今のこと、今の気持ち」
「一緒にシャワー浴びたから?」
「え?」
「それだけで、素敵なクリスマス?」
「瑞穂がここにいるから」

「好き」と言おうとしていたはずだった。
二つのホクロを持つ女の子をあきらめて、
瑞穂に「つきあって」と告白するはずだった。
ところが、こんなかたちで二つのホクロの女の子と再開してしまった。
俺のこの1年半を全て知っているであろう瑞穂に、何をどう言えばいいのか、
さっぱりわからなかった。
俺は俺で、1年半前に瑞穂と関係を持っていることに気づかないふりをして、話をしている。
とにかく複雑すぎた。

tz189 tz190

| 小説・隣の女子寮 | 00:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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