もの凄くお世話になった女神様だった。
たくさん会ってくれた女神様だった。
性格は内向的なのかも知れない。だから異性との経験も年齢のわりには少ない。
彼女を紹介してくれた女性も女神様として知り会った。
積極的で華やかな紹介者と比べ、彼女は佇まいから大人しさを醸し出す。
それは髪の色からも見受けられた。
「彼氏とクリスマスを過ごしたことなんてないよ」。それを聞いた途端僕に「じゃあ絶対にクリスマスは僕を予約してよ、約束だから」と言わせた。
それは9月の中旬、クリスマスまでまだ3カ月もあるという秋の日のこと。
この環境に身をおいた日から、僕はクリスマスに特別な意味を持たせていた。
これから何人の女神様と会えるのかは判らないけれど、
男女の心を躍らせるクリスマスに、何人から指名をもらえるだろう。
指名も予約も無く、部屋で1人寂しく受付からの連絡を待っていることだけは避けたい。
クリスマスは集大成だった。
「ブランドもののセールに行こうとしてもカップルだらけだから気分が下がる」と言った彼女。
何人もの女神様と来たるクリスマスの話しをしたけど、
一番気にとめていたのは、彼女のこと。
クリスマスの賑やかな街が嫌いなら、街で待ち合わせをしよう。
プレゼントをもらったことが無いのなら、プレゼントをあげよう。
そして楽しい思いでにしてあげよう。
とりあえずはそれらをクリアできれば成功だった。
恋人達が待ち合わせ場所に選ぶイルミネーションツリーの下。
面した路上には、恋人待ちの車も列をつくる。
僕と友人は車の中から彼女を探した。
30人ほどがそわそわしながら恋人の到着を待っている中、
キャメルのショートトレンチを着た彼女を見つけた。
友人を車内に残し、僕は彼女に駆け寄った。
手に拳大のポインセチアのアートフラワーを持ち、彼女に声をかけた。
「まだ3分早いんだけど・笑」と言い、ポインセチアにつけられた紐を
彼女が持っていたサマンサタバサのバッグに括りつけた。
周囲の女性達がこちらを見ていた、僕はそれを確認して、友人が助手席から顔を出す車を指さした。
友人が手を振った。周囲の女性達も車に目をやった。
「じゃあ行こうか」。
僕達が車に近づくと、友人が車から降りて彼女を助手席にエスコートした。
前列には僕と彼女、友人は後部座席に座った。
ツリーに目をやると、たくさんの人達が僕らを見ていた。
友人は途中で降り、僕らは予約していたフレンチレストランへと向かった。
そこでプレゼントを渡した。
いつも職場で、フリスクを愛用している彼女。
かなりのヘビーユーザーであることを聞いていた僕は、
スワロフスキーのフリスクケースを贈った。
クリスマスの話しをした9月から、彼女は僕を4回呼んでくれた。
春から合計すると ちょうど10回目。僕は10回目をこの日に選んだ。
その理由は10回目の利用は無料になるから。
クリスマス、女性にお金を払わせるわけにはいかない。
クリスマスメニューの中で一番安いコースメニューで申し訳なかったけど、僕が払った。
そしてホテルへ。
彼女が好きなバスルームでのフェラ。ベッドでのクンニ。
2人とも全裸になって、リラックスして大の字になった彼女の全身を愛撫してあげる。
ベットに沈まる白い肌の周りを僕は体を変えながら頭のてっぺんへのキスから始まり、爪先まで唇を這わせる。
それをしてあげている時の彼女は目を閉じて軽く悶える。
身体は大の字で大胆なように思えても、左の頬を枕に沈ませたり肩に頬を無意識にくっつけては息を漏らす様は、
恥ずかしがっている淑女のようにも見える。
いずれ僕は身体を被せる。
そうなれば彼女の細い両腕は僕の身体に巻かれ、両者の乳首が擦れ合う。
彼女はそれを好み、僕も抱き合っているだけで感じてしまう。
「今年は涼汰としかやってないや、てか、昨年から数えても涼汰としかやってないや」。
そう言ったのは帰りの車の中。
僕が辞めたら彼女はまた異性との関わりが無くなってしまうのかなぁ、と思うと返す言葉が見つからなかった。
なんだか辛い。
正直、そんなこと知ったこっちゃないが、とても辛い。
こういう気持ち、今月に入ってこれで何回目だろ。
みんなさぁ、深く知りあうと、すごくすごく魅力的な人ばかりなのにさぁ。
なんでそんなに出逢いが無いの?
女神様達と会えなくなることも辛いけど、
それと同時に、女神様達の出逢いの無さに苛立ちを覚えたりしたんだ。
ミスTに捧ぐ