femona 女神たちの快楽

駅前を歩いていた７時間前、急に雨が降って来たので、
地下へ潜り込んでビニール傘を買いました。
半透明というか乳白というか、クリアじゃない厚手のビニールに、
ブルーの小さなドットがプリントされている傘で、
女性店員さんに「これ可愛いですね、いくらですか？」と尋ねると、
「800円です」
「じゃあこれください」となり、そのまま地上へ。

　

仕事が終わり、家路途中にある青いコンビニに寄ったのは１時間前。
傘立ての穴に買ったばかりの傘をスルリと挿して店内へ。
レジに１人、雑誌コーナーに１人、パンの棚の前に１人、３人とも全て２０代とおぼしき女性。
男性は店員さんと僕の２人。
店内を一周し、カップ麺と洗顔フォーム、それと友人が来た時の為にと思いビールとスナック菓子、
そしていつものお決まり、ブラックサンダー。
レジを済ませ、傘立てを見ると、買ったばかりの僕の“レイニちゃん”がありません。
はい、レイニちゃん、可愛いブルーのドット柄のビニール傘です、
傘をさして歩きながら、その傘の名前を考えちゃったりしていました。
漢字で書くと「澪尼」です。尼です。
そのレイニがいません。いないどころか傘は１本も立ってはいませんでした。
代わりの傘も無いということは、間違いでも、すり替えでもなく、盗難です。
犯人は３人の女性のうちの誰かです。

　

盗難。自転車ならまだしも傘を盗まれて盗難届けを出す人はいないから、これ お手上げです。
この やり場のない怒り、とまではいかない「やりきれなさ」を、
ただ胸中で治まるまで めげていなければいけないのですよね。
せめて相手に伝えたい。「ちっちゃい物でも盗んだらダメなんだよ」って。

　

傘に僕のメアドを書いておけば良かった。
メアドの上には
「この傘を盗んだ女性の方はメールください」って。
「男だったらメールすんなよバカヤロー！この盗っ人がっ！」って。

もしかしたらメールが届くかもしれないじゃないですか。
「ごめんなさい、つい、でき心で……」
『ダメですよ！でも……貴女が濡れなくて良かった』
「そんなこと言ってくれるんですか？」
『風邪なんかひかないようにね』
「あのぉ…、ＵＮＯの洗顔フォームと、じゃがりこを買った方ですよね」
『そうです、貴女は？』
「私は…私は…、レジでピザまんとジャンボつくねを買っていた者です」
『覚えていますよ、ベージュのミニトレンチを着ていましたね』
「はい、傘をお返ししたいのですが……あのコンビニで今から待ってます」
『ごめんなさい。傘はさしあげます、僕は貴女に会えません』
「何故ですか？傘をお返しするだけなのに……」
『僕は、僕はきっと、貴女を濡らしてしまうから』
「えっ？もう雨はやんでいますよ」
『僕のジャンボつくねが、ジャンボフランクが…』

って
バカヤローーーー!!!!!

この話しったらダッセーなーーー。
このダササはいつもの僕じゃないですから、
これはブラック涼汰の仕業ですから。

　

でも、男性が女性の為に傘を買ってあげるサービス。
駅の近くのコンビニでのサービス。
雨の日にコンビニの店頭にそれはあります。女性限定で無料です。
男性は傘にアドレスを書いて、大きなガチャみたいな箱に入れます。
傘１本500円で、１人5本までです。

置き薬ならぬ置き傘ビジネス、
通称「出会い傘」。

これどうでしょう・笑。くだらないっすね。
こんなことを考えるのは、ホワイト涼汰です。

貴女はどちらの涼汰が好きですか？・笑。